430日、一人で明石市立天文科学館のプラネタリウムを見に行った。初めて見るプラネタリウムは涙が出るほど綺麗だった。

「街の明かりは実は星を見る妨げになるのです。今日はせっかくのプラネタリウムですので、街の明かりを消して皆さんに満天の星空をご覧いただきましょう。街の明かりを消していく間は、目を閉じていてください。そうすることで、眼が暗闇に慣れて、眼を開けた時に、一層綺麗な星空が見えてきます。それでは、眼を閉じてください。5,4,3,2,1。はい、どうぞ」。

解説者がそう言い終わるや否や、客席から一斉に歓声が上がった。丸い天井のスクリーンに一面に星空が広がっていた。隣に座っていた子供が「すげー、すげー」と連発していた。言葉を失った私はただポカンと口を開けたまま、スクリーンに投影された星空に見とれていた。いつの間にか頬に一筋の涙が伝っていた。こんなにたくさんの星が空一面に輝いているなんて。これまで見てきた星空は偽りの星空だったなんて。

  
 

 昔の人間もこんな美しい星空を見上げていたのだろう。今では光害のため星が見えにくくなってしまっている。さらにテレビやパソコン普及のため、星を見ようとしない人がめっきり増えている。無機質な町ほど不気味なものがあろうか。

 私が好きな枕詞の一つに「ぬばたまの」がある。「黒」「夜」「夕」「月」「暗き」などにかかる枕詞だ。時には、手を伸ばしても5本の指さえも見えないような漆黒の闇に戻りたい。暗闇の中で星空を見上げたら、もう一人の自分が見つかるのだろうか。

 


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