京都に葵祭を見に行った日のことだった。鴨川のほとりで昼食を取っていると、電線にびっしりと止まっている黒い鳥の群れが目に留まった。「あれって鷹なの」と聞いたら、聖那ちゃんは「たぶんトンビだろう。鷹はいつも一羽で飛んでいるような気がするんだ」と言った。

あれからずっと気になっていた。日本には「トンビが鷹を生む」という言葉がある。トンビを出来の悪い親、鷹を優れた子供にたとえており、明らかにトンビをバカにしている。ほかにも、「一富士二鷹三茄子」や「トンビに油揚を攫われる」など鷹を賛美し、トンビをけなす言葉は枚挙にいとまがない。鷹とトンビの違いはいったいなんだろうか。

謎を解こうと動物図鑑を見てみたら、「トンビと鷹との違いは尾の先端部の形に端的にみられる」とある。また、鷹は「貴」と訓が同じなので縁起の良いものとされているらしい。「違いはそれだけ?」と突っ込みを入れたくなったと同時に、トンビが気の毒に思えてならなかった。トンビも鷹もありのままの姿で生きているだけなのに、どうして人間はややもすると自然界に自分勝手な都合を押し付けたがるのだろうか。なんてついつい考えてしまった。

 ところで、面白いことに中国語では「トンビ」も「鷹」も同じ「鷹」と書く。つまり、中国ではトンビが鷹を生んでもおかしくないわけだ。

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